静かに沈殿していくファミーリエ

2014-09-24
story

静かに沈殿していくファミーリエ

かさぶたを何度も剥がして傷がある事を確かめる少女。 

塩水につけたって、指でつついったって、痛みの程度に差が無いんだ。 

傷を付ける度胸はないくせに、傷があることに安堵してやがるんだ。 

静かに夢を見終わるように落水したい。 

パパとママはそんな事を望んでいないようだった。 

お下げ髪の少女はかさぶたを剥がし続けている。 

その傷に生かされているような培養液の中でひっそり息をひそめながら。 

かさぶたを何度も剥がし続けては生き続けている事を確かめるお下げ髪の少女。 

チューブの続きは見えない。 

真っ黒なお下げ髪の少女はかさぶたを剥がし続けている。 

誰かの涙で満杯になったような培養液の中で産声すら上げられないままに。 

かさぶたを何度も何度も何度も何度も剥がし続けては生き続けている事を確かめる真っ黒なお下げ髪の可哀想な少女は未だその傷に生かされているような培養液の、誰かの涙で満杯になったような培養液の中でひっそり息をひそめながら産声すら上げられないままにかさぶたを何度も何度も何度も何度も剥がし続けている。