マイ・ウィル・ラスト・ラスト

2014-09-10
story

マイ・ウィル・ラスト・ラスト

一人ひっそり居なくなる方法を考えている。
死と言うものはブラックホールだ。
否応無く周囲を巻き込んでしまう。
悲しませたくはない。
それが最後のエゴなのだ。 

それならば、そう。
消しゴムか、もしくはカッターが必要だ。
すっぱりと存在を消し去ってくれる奴が。
リセットなんぞ不要だ。
あるのはデリート一つでいい。
もしくは電源ただ一つ。

おぎゃあと生まれた時から振り返ってみると、
もう十分生きていたような気がする。
満足しているのだ。
笑顔でいられる内に手を振る事は悪なんだろうか。
あと何年生きるのだろう?
もしくはあと何年生きなければならないのだろう?
惰性すら苦しい。 

誰かを悪者にする事なく、
誰かを悲劇に引きずり込む事なく、
いなくなるにはどうすればいいだろう。
知らない誰かの呪詛さえもが私を砕くのだ。
あぁ、迷惑だ。 

その声さえも迷惑だ。 

生きた爪痕なんて、血痕なんて、傷跡なんて。
必要ないのだ。
蜘蛛のように蛾のように蟻のように朽ちたいのだ。
何でもない事のように目を背けて欲しいのだ。

生が素晴らしいものならば、そう。
死は愛しいものなのだ。
それを汚辱のように思うその、心が。
きれいすっぱり消し去る方法があれば、それすら。 

( 

書き殴られたその手帳は、そのまま腐った畳の上に落ちていた。
私はそれを拾い上げ、さてどうした物かと思案する。
小説としようか、それとも自伝としようか。
この手帳の持ち主は消滅の理論を見出したのだろうか。
いや、見出したからこそ実行し、そして手帳が残っているのだ。
それとも、これは私の……?

)