擬音語と月と愛情

2006-11-29
story

擬音語と月と愛情

笑う月の中にあたしは消えた。じゃぼん!けたけたと、月の声がすぐ近くで振動した。月の中はきらきらと輝く黄金の水で満ちていて、ぶくぶくと、どこからか泡が溢れ出ていた。

あたしは、ふらふらと所在なく漂う。口を開こうにも、声は出ない。ごぼごぼと醜い音だけが出る。けたけたと、また月が笑った。あたしも思わず笑った。

泡が増えていく。あれは悲しみの数よりも、星の数よりも多い。月はたっぷりの愛情を込めて叫んだ。

「愛しい人よ。永遠なれ!」

月の中にいるあたしには、それが大音量で聞こえた。不快感を感じるよりも先に、あたしの鼓膜が破れる。もう二度とあの声が聞こえないのだ。

少しばかり残念に思っていると、すぐにまた泡の音と、けたけた声が聞こえてきた。一時的な麻痺だったのだ。あたしは安心して口を開いた。ごぼごぼ、いい加減聞き飽きる。

ええ愛しているのよ!あたしは泡と一緒にそう言った。月にこの言葉は届いただろうか。