カラフル

2008-05-14
story

カラフル

ドカンと一発。戦うことの意義と意味が無くなった場所で語る。「してはいけない!」と言われたから、全ての色は銃をおろした。相手を打ちのめすことばかり考えていた頭は消えた。冴えた瞳で今度はコミュニケーションを図る。

青が言った。

「闘争は、ついに悪でしかなくなったわけだ」

ぼんやりとした顔で空を見上げ、そう言った。青は戦うことが好きだった。銃ではなく、頭や口を使うゲームで。相手を論破し、打ち負かすことが好きだった。目先のものに誘惑されることなく、目的と手段を履き違えなかった。他人の意見も取り入れ、より最善の道を選びとることができる子だった。

緑が反論する。

「いいや違うね。闘争とは常に目まぐるしく存在しているわけで。暴力こそが悪だ」

銃を地面に叩きつけるようにしてそう言った。緑は何よりも傷つくのが嫌いだった。自分が誰かを傷つけるのも嫌だったし、誰かが自分を傷つけるのが嫌だった。この世から苦痛が消えてしまえばいいと思っていた。エゴと優しさのちょうど中間あたりに突っ伏しては泣いているような子だった。

赤が否定する。

「どうかなぁ?暴力が無いところにも悪はあるよ。ぼくは意味あるものを無意味と見なす無能さが悪だと思うな」

そこら中に散らばったゴミを片付けながらそう言った。赤は誰よりも思慮深く、周囲を見る目があった。あらゆる状況で活路を見出し、どんなに小さなチャンスも逃さない。物事の、奥に潜みがちな真実を見抜く子だった。

紫が同意する。

「そうかもしれない。ねぇ、ほら、賢い人には知識がある。バカには無い。まるで暗号、不可視光線!バカはどれも分からない」

残った銃弾を地面に発砲しながらそう言った。紫は無邪気で、少しだけ無知だった。それは子供のような可愛らしさなので、誰からも好かれる要因の一つだ。そして濁りのない言葉を使うので、誰の言葉よりも真理だった。純粋ゆえに危うい、世界にすら愛されるような子だった。

白が首を振った。

「悪だとか、もういいよ。疲れちゃった。どうせ正義とのイタチゴッコさ。終わらないもの。それよりも、わたしは虹を見つけた人について考えたいな」

全ての色がうなずいた。

「それがいい。知ってるか、虹は元々二つで一組なんだ」
「二色だったり、五色だったりするよ」
「無限だって言う人も!」
「虹の根っこには宝があるんだって」
「かみさまのいる場所へ続く橋なんだよ」

最後に白が言った。

「素晴らしい。ねえ、暗い所はいつまでも暗いままだ。でも、明るい所はいつだって明るいんだよ」

ぎこちなく笑いながらそう言った。長い間、笑うことなんて忘れていた。白は笑うことが好きだった。いつかみんなで笑い合うことを望んでいた。嘲笑ではなく、苦笑ではなく、誰かを幸福にできる談笑を。幸福を人に与え、幸福を幸福と思える子だった。

全ての色が笑った。それこそが望んでいた世界で、どこにでもある世界だった。