ぎゃくぎゃくどんく

2009-02-02
story

ぎゃくぎゃくどんく

明るいものが好きだった。正確には明るいものが好きなものが好きだった。どいつもこいつも明るいものが好きだからだ。

私はそれを捕食する。

光の方へ真っ直ぐに進むその潔さがとても好きだ。けれども私はそれを捕食する。

羨望だ。尊敬だ。嫌悪もある。

じめじめとした薄暗いところで、淡々と生きていく。幸せかも不幸せかも分からず、ただ雨が降るのを警告する。眩しさに目を潰すこともなく生きる彼らが憎らしい。

私はそれを捕食する。

憎悪だ。恐怖だ。慈愛もある。

明るいものが何だと言うのだ。そこでは何も見えない。眩しすぎるのだ。 憐れみを込めて私はそれに舌を這わせる。味などは覚えていない。何だって良かった。私はただそれを捕食する。

ペタリペタリと歩いて行く。じめじめとした薄暗いところを。もうじきに雨が降る。5、4、3、2、ぽつりと水滴が落ちてくる。雨が降ってくる。土砂降りになるだろう。私はもっと暗いところへ逃げだした。

「触ったら大変だよ」

私は背中に伸びた無数の手を払い落とした。それはずるずると地面を這いつくばって消えて行った。毒があるんだ。簡単に君を失明させるよ。そうして私は君を捕食する。

雨がざあざあと降ってきた。私は大きな葉っぱの下でそれをぼんやりと眺めた。何も咀嚼できずに、ちっぽけな脳みそを持て余した。雨が降っていると誰かに教えたいのだけれど、誰にも教えたくはない。明るい場所にいる彼らが憎らしい。薄暗い今日は、私の領地だ。