痛みを伴い多用されるwill
ごめんなさいごめんなさい。
生きていてごめんなさい。役に立たない子供でごめんなさい。あなたたちの間に生まれてきてごめんなさい。義務も責任も全うできないクズでごめんなさい。
迷惑しかかけれなくてごめんなさい。頭が悪くてごめんなさい。何もできなくてごめんなさい。苦しくてごめんなさい。助けを求められなくてごめんなさい。
一切合切僕が悪いのです。何もかもに適応できなかった僕が欠陥品だったのです。迷惑しか残せなくてごめんなさい。もっと気持ちの良いものを残せたらよかった。産んでくれてありがとうは言えません。でも、生かしてくれてありがとう。
もう冷たくなってしまいたいのです。呼吸し、救いをただただ待つような生き方は惨めで、情けなく、憐れでなりません。ほんのわずかな権利と尊厳だけは道連れにしたいのです。先の見えない僕の生き方はきっとこうなるしかないのでしょう。
病や事故が手を下す前に、僕は僕のせいで朝露のように消え去ってしまいたい。それが最小限であり最低限の最善でしょう。きっとあなたたちは僕が何をしていても苦しむのでしょうね。
ごめんなさい。愛されていることは知っていました。けれども僕はそれを放り投げる術を持たなかったのです。
ごめんなさい。ごめんなさい。
産んでしまってごめんなさい。どうせ死んでしまうのなら、私たちの腹の中で温かいまま死んで欲しかった。あなたの冷たい手はとても寂しい。
あなたが救いを待つより前に、あなたの救いになりたかった。どうして分かってやれなかった、なんて高慢でしょうか。けれども、そう思わずにはいられません。
死を選ぶよりも先に、私たちに救いを求めて欲しかった。苦しむあなたの横で、私たちは笑っていたのかと思うと心臓がきしきしと痛みます。
赤ん坊のように、欲求を涙にして悲鳴にしてさらけ出して欲しかった。あなたは大人になってしまったんですね。今更、そんなことに気付きます。今でも気付いてやれないことばかりなのに。
あなたは許してくれないかもしれませんが、私たちに後悔する時間を下さい。考える時間を下さい。どうしてこんな結末にしかたどり着かないのかを。
ごめんなさい。ごめんなさい。
よくあることだ。本当に良くあることだ。ありきたり過ぎて口にすることも飽き飽きだ。心苦しいくらいだ。私たちはそれを眺めてはするりと言葉を吐く。ありきたりで、当たり前のことを。生きていればいいのだ。苦しいだけでも、生きていたら万々歳なのだ。そうやって、私たちは審判する。
私たちは知っている。言葉が無力であることを。人は一人では生きられないが、一人で死んでいくということを。寂しいばかりで、悲しいばかりで、虚しいばかりで、冷たいばかりだ。三者三様の言葉と意思は互いにすれ違い、決して交わることがない。
それでも、それでも私たちは何度だって、幾度でも、声を荒げ、声を抑え、声高に、囁くように、言わずにはいられないのだ。生きていなさいと。