月曜日の煽動彩度

2014-01-05
story

月曜日の煽動彩度

好きなものを20個挙げていく。

家族、
飼い猫のジャム、
早朝に聞く知らない人のラジオ、
出来立てのアップルパイ、
わたしの嫌いなものが好きな人、
流れ落ちる雨音、
エメラルドグリーンの海底みたいに腐った眼球、
嘘を悟られないように避ける視線、
誰も不幸にならないハッピーエンド、
花火みたいな轟音、
焼け付くような痛み、
上にいく前に見つめてたはずの地下2階、
閉じたままだった愛読書、
聞こえない空気の冷たさ、
憂鬱を押し込めて優しく歪む宵闇の眼球、
眠りを深める棺の蓋、
理解を捨てた受取主、
紅茶に溶け込むミルクみたいに濁った眼球、
雨音に紛れ込んだ異臭、

わたしの心臓。

カシューナッツの匂いが立ちこめるエレベーターの中にいる。
わたしは思い出す。
ふやけたシーケンサーの中に包まれたあの細胞は一体誰だったのか。
登っていく、上がっていく。
黒い黒い脳髄が喉元を通り過ぎていく。

上がっていく、落ちていく、夢の幸先。