01. トグリル

2010-01-16
私がみたままを語ります。みたままです。いいですか、何度だって言いますよ。みたままです。一字一句も間違えません。みたまま全てを書き留めておきます。 信じるか信じないか。ありきたりな言葉で答えますが、それは貴方の手に委ねられています。しっかりと、貴方のその掌に握られているのは確かです。私を廃人だとか、変人だとか、何と名付けても構いません。ただ、そうやって世界は終わって行くんでしょう。 そういう夢を私はみました。 化け物だとか、死神だとか、悪魔だとか。何かを差別化し、恐怖の箱にしまい込む言葉はいくつもあります。いくつあっても足りないくらいです。ここではどんな名称を使いましょうか。 確か名前があったのです。今は思い出せないけれど。いいえ、話を続けます。 そう言うものが、やってくるのです。台風のように、大雪のように、雷雨のように、情け容赦なく悲劇を作りにやってくるのです。津波のように飲みこみ、噴火するように気まぐれに、地震のように唐突に、それはやってくるのです。 たった一つのそれが世界を食い潰す。獣なんかよりも下品に世界を食い散らかす。沢山のおかしなことが起こる。意味も原因も目的も理由も定義も何も忘れ去って。たった一つのそれが練り歩く。平和な町へも、争いの地へも歩き回る。 気まぐれに人と会い、気まぐれに壊す。足りないのか、持て余しているのか、それとも満ち足りているのか。救いはあるのか。助けは来るのか。分からない。きっと誰にも分からないでしょう。 嘘なのか、夢なのか、はたまた幻なのか現実なのか。きっと誰にも知られていないのです。そういう風にできているのです。 とにかく、もう疲れました。私は何を観ているんでしょう。映画にしては、あんまりじゃないか。悲劇にしては、とんでもないじゃないか。ああ、悲しい。悲しい。全てが全くそうなるためだけにあるのだとしたら、それはとっても悲しい。ただ思うからそうなるのだとしても、悲しい。 そうだ、思い出しました。恐ろしくてしまいこんでしまったそれを、私はトグリルと呼んでいたのです。